こんにちは、HIROROです。
今回は岡田茂吉文庫の第五弾としまして、
隈元正樹氏の『療術から宗教へー世界救世教の教団組織論的研究ー』を取り上げます。
こちらの本につきましては、ただただ「素晴らしい!!!」の一言に尽きます。
そもそも本書が出版されるまで世界救世教に関する総合的な研究書は無かったので、
まさに待望の一冊でございます。
岡田茂吉研究を行う研究者にとっては必読書といえるでしょうし、
内容はちょっと難しいですが一般の方にも是非とも読んで頂きたいです。
特に序章は宗教学の用語が多用されていまして、
ここで挫折してしまう人も多いかもしれませんので、
難しければ飛ばして第一章から読み始めるのも手です。
ただ、HIROROの専攻は実は茶道史でしたので、
序章の「宗教的イエモト」の概念はとても興味深かったです。
(まさか家元制度研究の西山松之助が出てくるとは思いませんでした)
筆者の隈元正樹氏はHIROROと同学年のようでして、
本書は2013年に東洋大学大学院に提出した博士論文が基となっています。
岡田茂吉や世界救世教に関する先行研究は当然しっかりおさえれた上で、
教団機関紙や内部資料の分析、聞き取り調査なども実施していまして、
特筆すべきは元教団専従者のS氏の日記と手記を使用している点です。
(S氏は管長秘書や総務部長を勤めた人物とのことです)
発行は2018年ながら2013年提出の博士論文が基のため、
現在の世界救世教の混乱(4代教主推戴取消、主之光教団被包括法人解消)は
取り上げられていませんが、立教当初から最近までの推移が分かる良書です。
大きな図書館であればだいたい所蔵されていまして、
また3,300円(税込)と専門書としてはそこまで高価ではないので、
是非とも購入して読んで頂くことをお勧めします。
①タイトル
『療術から宗教へー世界救世教の教団組織論的研究ー』
②著者・編者
隈元正樹
③出版社
ハーベスト社
④出版年月
2018年2月
⑤サイズ
A5判
⑥頁数
191頁
⑦目次
序章 問題の所在
1 研究目的と方法
2 先行研究と課題設定
3 本書の構成
第1章 対象教団・世界救世教の概要と協議
1-1 歴史と現況
1-2 教祖
1-3 教義
第2章 療術系新宗教としての世界救世教
2-1 背景としての霊術ブーム
2-2 日本近代霊術史における世界救世教
2-3 療術系新宗教の他の事例
第3章 療術ネットワークの段階
3-1 宗教統制下の活動ー療術ネットワークの形成
3-2 戦後の再組織化ー療術から療術系新宗教へ
第4章 教団統合の模索ー系統制と一元制
4-1 世界救世教の教勢
4-2 世界救世教の成立
4-3 教団一元化の展開
第5章 イエモト推戴的連合教団の形成
5-1 教団一元化の破綻(1980~1997)
5-2 再統合の模索(1997~)
結章 要約と結論
巻末資料
参考文献
あとがき
索引
※各章には小括と註がありますが割愛してます
イラスト:きーろ様(Twitter*@ki_ro_iroiro)
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