こんにちは、HIROROです。
今回は岡田茂吉文庫の第23回目としまして、
中真佐夫『みちひとすじ 神慈秀明会の歩み』を紹介します。
(本書はT様にご寄贈いただきました、誠にありがとうございます) 
本書は世界救世教から分派した神慈秀明会の本でして、
神慈秀明会が1983年に同教団の聖地である神苑(みその、滋賀県甲賀市信楽町)に
神殿・教祖殿が落慶した記念に発行されました。
筆者の中氏は本書以外に『全国神仏ご利益総覧』(三恵書房、1976年)なども執筆しています。
本書の前半は神慈秀明会の発展の歩みについて記されていますが、
分派するきっかけとなった地区制(一元化)の項目に入りますと、
松本明重氏を「悪魔」と非難するなど、ちょっと刺激的な内容です(笑)
なお本書では1969年4月に管長の川合輝明氏が「突然に蒸発、行方不明になった」と非難していまして、
「のちにわかったのですが、管長は、行動右翼集団の日本民主同志会(日民同)と手を結び、
当時出版された世界救世教批判の暴露文書を押さえ、教団内部の反対派を実力行使で排除する
挙に出たのでした」(本書86頁より引用)と、この時すでに松本明重氏と結託していたとしています。
一方、以前取り上げました松本明重『何をしている世界救世教』では、
川合輝明氏と松本明重氏が初めて会ったのは1970年2月と述べています。
『療術から宗教へ』や『何をしている世界救世教』に基づき時系列で事実関係を整理しますと、
1969年3月31日：地区制(一元化)の決議
1969年4月15日：責任理事会で川合輝明氏が突如辞表を提出し理事会は総辞職
1969年5月7日：川合輝明氏、管長辞任
1969年5月23日：三好康之氏、顧問辞任
※後に『世界救世教の実態―医療拒否とその裏面』で世界救世教批判
1969年12月13日：月刊ペン事件(町田勝彦『世界救世教への告発状』)
1970年2月2日：松本明重氏が顧問を務めていた世界救世教神生教会の沢田会長より
『世界救世教の実態―医療拒否とその裏面』について松本明重氏に相談
1970年2月4日：熱海東山荘で松本明重氏と川合輝明氏が初対面
1970年2月10日：松本明重氏、外事対策委員長就任
となっていまして、1969年4月の川合輝明氏の「蒸発、行方不明」の真偽は不明ですが、
いずれにしましても三好康之氏を退任させるために苦心していた時期でした。
そして三好康之氏が退任後に、暴露文書問題が発生することとなり、
その対策として松本明重氏を外事対策委員長として招聘するという流れです。
本書では1969年4月には暴露文書問題が発生していたような記述となっていますが、
こちらにつきましては、筆者の中氏が誤認していたかもしれません。
ただ松本明重氏も世界救世教に入ると一元化を推進する立場をとったため、
神慈秀明会側からすれば三好康之氏も松本明重氏も川合輝明氏も
いずれも「けしからん」と考えても仕方がないかもしれません。
といいますのも、神慈秀明会の元となった旧・秀明教会は世界救世教の中でも
トップクラスの規模の教会で、県外にも多くの支部をもっていたため、
一元化となるとそれらが全て世界救世教側の管理となることを意味し、
軽々には受け入れがたかったと推察されます。
また1970年3月に分派離脱するに際しましては相当な嫌がらせを受けたようでして、
岡田茂吉は素晴らしいが、岡田茂吉亡き後の世界救世教は「けしからん」という考え方が
神慈秀明会の中では共有されたようで、本書でもそれが強く伺えます。
一方で小山美秀子氏(神慈秀明会・会主)が岡田茂吉在世時に奉仕した内容や、
岡田茂吉没後の秀明教会の取り組みなどの記述は大変貴重です。
HIROROは神慈秀明会やMIHO MUSEUMを訪問したことはないのですが、
分派教団側からみた岡田茂吉という視点も重要だと思いますので、
この他にも神慈秀明会が発行する書籍があれば紹介していきたいです。
①タイトル
『みちひとすじ 神慈秀明会の歩み』
②著者・編者
中真佐夫
③出版社
タイムライフブックス
④出版年月
1983年10月
⑤サイズ
四六版
⑥頁数
142頁
⑦目次
第一章 神苑の光
１ 滋賀の神苑大建設
２ 御神体ご遷座、明主様御尊像開眼、そして落慶大祝祭
３ 神殿・教祖殿落慶の意味
第二章 明主様にみちびかれて
１ 明主様の歩まれた道
２ 明主様と会主様
第三章 神慈秀明会の歩みーその前史
１ 会主様に集まる人びとー秀明教会
２ 明主様ご在世時代ー大奉仕精神
３ 黒幕の時代ー明主様信仰ひとすじ
４ 神意の離脱ー明主様ご復活
第四章 みひかりをかかげて
１ 奇蹟が語るみひかりの強さ
２ 会長先生とともに
３ 世界にみひかりを照らす
第五章 新しき出発
１ 地上天国建設へお救いの本番
２ みろく出世せんとす
３ これからの神慈秀明会
４ 世界人たれ、新人たれ
イラスト：きーろ様(Twitter＊@ki_ro_iroiro)
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