こんにちは、HIROROです。
今回は岡田茂吉文庫の第42回目としまして、
中村力『明日は何かを変えてみよう』を紹介したいと思います。
本書は1983年に当時世界救世教の総長であった中村力氏が
一般の出版社である文化創作出版から出した珍しい本です。
目次を見て頂きますと、宗教書ではなく道徳書や倫理書といった
ジャンルであることが読み取れると思いますし、
実際に読んでみますと今から40年前の本とは思えないほど
現在でも大いに参考になる内容ばかりでした。
信徒の実例を挙げながら、夫婦関係、子育て、職場での人間関係、
借金、健康、信仰などについてわかりやすい文脈で記されています。
特に信仰については、熱心な妻と不満を抱える夫の事例が複数出てきまして、
夫婦関係が大切なので妻の過度な信仰をたしなめて家庭を大事にするように説いてきたと、
中村氏が教会長時代にはそうした問題の仲裁にあたっていたことを回顧しています。
本書が出された時期は一元化がひと段落しまして、
MOA美術館も開館するなど新たなスタートを切ろうとしていました。
特にHIRORO的に着目しましたのは次の一文です。
新興宗教では、過渡期の一現象として、強力な布教活動をすることがある。
教団の実力をつけ、活力を生むためには必要なことではあるが、
ときとしてそれが行き過ぎることがある。地域の反感を買い、
家庭を破壊することもそうだが、布教専一に励むあまり目が見えなくなって
しまうことのほうがもっとこわい。それを軌道修正するのが総長たる
私の役目であると思っているし、またそういう風にやってきた。
(本書234~235頁より引用)
文化創作出版という、若干スピリチュアルな内容の本を多く刊行してきた出版社ではありますが、
世界救世教信徒以外への教団に対する理解を求め、世の中との調和を目指すために書かれたのかもしれません。
この後、中村氏はいわゆる「6億円株式投資疑惑」により総長を解任され、
教団は三派分裂へと突き進んでいきます。
本書からは中村氏の人柄の良さしか伝わってこなかったので、
中村氏の人物像につきましてはもう少し調査をすすめていきたいと思います。
①タイトル
明日は何かを変えてみよう
②著者・編者
中村力
③出版社
文化創作出版
④出版年月
1983年11月
⑤サイズ
新書版
⑥頁数
239頁
⑦目次
はじめにー幸福は待っていてもやって来ない
第一章 負けに徹して生きよう ー生き甲斐につながる考え方
*自分の人生に何を求めるか
■他人の中の自分の尺度
■苦しみが人をつくる
■”理外の理”をわきまえよう
■悪人を見分ける方法
■思いやりで信用を築く
■自分に何が必要か
■負けに徹する生き方
■どんな行為が喜びにつながるか
*他人と交わる自分のみつめ方
■楽しくなければ人生じゃない
■自由闊達に生き抜くために
■幸福になる秘訣
■”利他の心”は奇跡を起こす
■焦らずに生きる信念
■どんな逆境にも絶望しない考え方
第二章 愛するために生きよう ー後悔しない結婚の条件
*どんな時、夫と妻は危なくなるか
■結婚は夢ではなく現実である
■”男女合権”とは互いの相手を立てること
■夫の気持ちをどう理解していくか
■不満を重ねていく不幸
*どうすれば家庭は円満にいくか
■ケンカをする夫婦、しない夫婦
■浮気は悪魔のささやきか
■嫁と姑のつき合い方
第三章 毅然として生きよう ー失敗しない親と子の方法
*何が子どもを蝕んでいるか
■子どもをどんな人間にしたいのか
■自信のない親は最悪である
■子どもの欲望コントロール法
■”正直”がなぜ成功するか
■子どもをダメにする母親
*後悔しない子どもの躾け方
■心の広い人間を育てたい
■”ーらしさ”のない時代
■一家団らんにも長幼の序
■親のつとめは”心”を育てること
■どんな親からどんな子が育つのか
■過保護の弊害
■個性を伸ばす教育、つみとる教育
■親が幹なら子は枝である
■親が曇れば子も曇る
■わが子に思いやりを込めて
第四章 誠実に生きよう ー心地よく生きる付き合い方
*つき合いの上手い人、下手な人
■寂しい人間関係
■見せかけの豊かさの中で
■なぜ”利他の心”が必要か
■ちょっとの気配りが大きくモノを言う
*職場で忘れてはならないこと
■そのひと言が決定的になる
■磨いていればチャンスはやってくる
■ほめるが先、叱るは後
■どんな人間なら、リーダーになれるか
*お金と上手につき合う方法
■なぜ、借金は諸悪の根源か
■借金は知恵を鈍らせる
■恐い消費的借金
■現代人がはまり込むワナ
終章 明日は何かを変えてみよう ー精神と身体の健康をとり戻すために
*失なわれた健康をとり戻そう
■無農薬栽培・自然食のすすめ
■偏食は人生のマイナス
■食事はバランス
■おふくろの味を持とう
■料理には感情が出る
■料理の心は”美の心”
■”食も美なり” “食も芸術なり”
*信仰とは何を求めることか
■心の反映
■困った時の神頼み
■人間として生き続けるために
■信仰の基本は人の心の中にある
■触れ合う人は皆師である
■”人の心”を勉強するために
イラスト:きーろ様(Twitter*@ki_ro_iroiro)
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