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佐木秋夫『教祖ー庶民の神々』(@岡田茂吉文庫)

岡田茂吉文庫
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こんにちは、HIROROです。

今回は岡田茂吉文庫の40回目としまして、
佐木秋夫『教祖ー庶民の神々』の紹介を行います。

本書は岡田茂吉が亡くなって10か月が経過した1955年12月に刊行されました。
世界救世教(世界メシヤ教)以外にも6教団が取り上げられていまして、
「庶民」をキーワードに各教団の分析を行っています。


まえがきを一部抜粋しておきます。

 新興宗教の教祖というものは、ペテン師か精神異常者のたぐいなのだろうか。
 頭からそうきめてしまっている人も少なくない。ジャーナリズムは教祖たちを
 笑いものにあつかい、事ありげに書き立てて、読者の優越感と好奇心とをくすぐっている。
 だが、それでいいのだろうか。
 五〇〇万をはるかに超える大衆が、天理教やさまざまな新興宗教に組織されている。
 大きな行事のときには、たちまち数十万人が動員される。
 その大部分は、まじめな貧しい日本の庶民たちー小市民や農民なのである。
 労働者や知識人のあいだにも、かなりの信者はいる。
 これらの組織された熱心な人びとをのけものにして、民族の生活と文化を
 どうすることができるというのだろうか。みんなが力を合わせてしんけんに
 民族の運命を切り開いていかなければならないときに、この人たちの
 心からの嘆きと夢とを投げかけた教祖を、単純に割り切ってかかっていいのだろうか。

今から70年近く前の本ですが、「読者の優越感と好奇心とをくすぐ」るのは、
今も昔も変わっていないことがわかる大変興味深い記述です(笑)

ちなみに本書の編集は次のように行われたと書かれています。

 この列伝をまとめるには、次のような順序を踏んだ。
 まず、原則として、同人が皆でそれぞれの教団を訪ね、
 教祖や教主にもおめにかかり、貴重な資料をいただいた。
 何回も研究会を開いて討論した。その結果をまとめて
 佐木が執筆にあたり、みなでさらに修正を加えた。
 そうしてできあがったものを『中央公論』に数回にわたって連載した。
 こんど単行本にするには、みなでもういちど再検討し、
 教団からも事実とちがう点について批評をいただき、
 大はばな訂正、加筆をおこなった。

さて、世界救世教(世界メシヤ教)についてですが、
目次からも見て取れる通り、基本的には厳しい論調で書かれています。
ただ「庶民」になぜ受けたのかという点も分析されていますので、
興味がある方は是非とも読んでみてください。
(国会図書館デジタルコレクション「図書館・個人送信資料」で閲覧可能です)

なお、岡田茂吉在世時と没直後に取材されているため、
情報としてはある程度「鮮度」あるかもしれないので、
HIRORO的に気になった記述を数点とりあげたいと思います。

(1)観音像が映った写真
 昭和九年に満州から来た東光男というあつらえむきの姓名の人物が
 撮影した「ほんもの」だと称していたが、この「科学的実証」は今では
 かえって逆効果をまねくのか、メシヤ教ではあまり触れないようにしている。
 柴田延太郎という人物が、あれは自分が作った二重写しだと
 発表している(『読売』一九五〇・六・一・夕刊)。

(2)充電期間中に岡田茂吉を支えた有名人
 有名人では後藤文夫の秘書、末次信正田子一民鶴見祐輔
 小原直里見弴久米正雄など、本人なりその家族なりが
 出入りしたとうわさされた。海軍の平出報道部長などは、
 岡田のために警視庁にどなりこみに行ったという。
 右翼の赤誠会の黒沼宣伝教育部長も入会して、
 その筋ににらみをきかしてくれたらしい。

(3)岡田茂吉没後
 大本時代から岡田に従っていた木原義彦理事長は、
 教団を去って新しく世界明主教をつくらなければならなかった。
 三〇億ー五〇億といわれる教団財産をめぐって、
 井上日召を会長とする右翼の護国団が幹部をさらって
 軟禁するなどの事件がおこり、元の堀川辰吉郎・最高顧問が、
 ふたたび実験をにぎらせろと称して、訴訟をおこした。

ただ一点だけ残念なのは、「そのようなある日、昭和三〇年三月九日の昼、
ライスカレーを食べおわった茂吉は、とつぜん気分が悪くなった。そして、
その翌日、あっけなく昇天してしまった」と没日を間違って記載しています…^^;
(正しくは岡田茂吉は昭和三〇年二月十日に亡くなっています)
これでは全体の信頼性を落としかねないので、編集時にもっと気遣ってほしかったですね。。

①タイトル
『教祖ー庶民の神々』

②著者・編者
佐木秋夫

③出版社
青木書店

④出版年月
1955年12月

⑤サイズ
新書版

⑥頁数
273頁

⑦目次
まえがき
天理教(中山ミキ)
大本教(出口王仁三郎・出口ナオ)
生長の家(谷口雅春)
PL教団(金田徳光・御木徳一・御木徳近)
世界メシヤ教(岡田茂吉)
 1 お光りさまーそろばんでは人後に落ちないー
 2 浅草そだちの腕ききの商人ーだが独占資本にはたたきのめされたー
 3 大本教のやりての支部長ー商売としてもこのほうがよかったー
 4 大日本観音会ー警察の裏をかきながらー
 5 ”アメリカを救う”メシヤ教ー医薬も毒、肥料も毒ー
 6 メシヤの昇天ー地上天国の模型はゆらぐー
霊友会(小谷キミ)
立正交成会(庭野日敬・長沼妙佼)
神々のお花畑
教祖生没略年表・年譜

※世界メシヤ教のみ小見出しまで記載

イラスト:きーろ様(Twitter*@ki_ro_iroiro)

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