こんにちは、HIROROです。
今回ですが記念すべき(?)岡田茂吉文庫の第50回目としまして、
最近マスメディアへの露出が増えています塚田穂高氏の著書であります
『宗教と政治の転轍点―保守合同と政教一致の宗教社会学―』を取り上げたいと思います。
本書の書評につきましては専門家の方がたくさん記しておられますので、
(サイニーで検索しますとたくさんHITしますし、一部はWEB上で閲覧可能です)
弊ブログでは第5章についてのみ触れさせて頂きます(ご了承ください)。
※文末の目次も第5章のみ詳細に記載しています
さて、本書以前は浄霊医術普及会(世界浄霊会)の先行研究はほぼ無く、
塚田氏は「同会の書籍・冊子類約三〇点を収集」(本書161頁より引用)して調査されています。
(前回取り上げました『明主曼陀羅』も当然含まれています)
野澤明一氏(浄霊医術普及会を創立)が世界救世教に所属していた時の様子や、
世界救世教から分離独立する過程などを詳細に整理されていますので、
拙稿「岡田茂吉没後の世界救世教と分派教団」執筆時に大いに参考にさせて頂きました。
ネタバレになりますので詳細は記しませんが、
みろく神教と連携していたことも明らかにするなど詳しく調べられています。
また「野澤の長女で、後の「二代様」」(本書190頁より引用)と、
1999年に亡くなった野澤明一氏の後に長女が二代目となったことも記されていますが、
こちらにつきましてはこれ以上は特に触れられていませんので詳細は不明です。
後半は本書のテーマである政治と宗教がメインでして、
参院選に出馬するも惨敗し、選挙戦を終えた他の政党に対して
野澤氏が得意とする神訓数(姓名判断のような画数・数字を用いた数的解釈法)に
基づいた不思議な書面を送ったことなど、大変読みごたえがある内容となっています。
(塚田氏の「こうした書状を受け取った各団体の心中がどのようなものであったか、
推察するに余りある」(本書182頁より引用)とのご意見には吹いてしまいました^^;)
ここ数ヶ月の間で急に宗教と政治の話題が盛り上がってきましたが、
塚田氏はとても冷静に解説されていますので是非ともチェックされて下さい。
リツイートさせて頂きましたが、こちらの一文は本当に感銘致しました。
本書は岡田茂吉文庫で取り上げました本の中でも必読書といえますので、
是非ともご覧になってください!
①タイトル
『宗教と政治の転轍点―保守合同と政教一致の宗教社会学―』
②著者・編者
塚田穂高
③出版社
花伝社
④出版年月
2015年3月
⑤サイズ
A5判
⑥頁数
416頁
⑦目次
第1章 宗教と政治をめぐる研究史
第Ⅰ部 保守合同―宗教団体の政治関与と「正統」的宗教ナショナリズムの求心性―
第2章 戦後日本の保守合同運動
第3章 保守合同運動と新宗教運動
第Ⅱ部 政教一致―宗教団体の政治進出と独自のユートピアの希求―
第4章 創価学会=公明党―基点としての王仏冥合・国立戒壇建立―
第5章 浄霊医術普及会=世界浄霊会―浄霊普及、神意としての選挙戦―
はじめに
5-1 浄霊医術普及会の概要と展開
5-2 浄霊医術普及会の基本的世界観と国家・社会観
世界救世教・岡田茂吉と浄霊医術普及会・野澤明一の位置関係
神訓数・経綸日次・「二次」陽陰判定法・命名
浄霊医術普及会の国家・社会観とユートピア観
5-3 政治団体・世界浄霊会の結成と政治進出
一九八三年参院選における世界浄霊会
一九八六~一九九五年の参院選における世界浄霊会
5-4 浄霊医術普及会=世界浄霊会の政治進出とは何だったのか
第6章 オウム真理教=真理党―シャンバラ化の夢想、ハルマゲドンの回避―
第7章 アイスター=和豊帯の会=女性党―「新しい女性の時代」のために―
第8章 幸福の科学=幸福実現党―選ばれた日本、ユートピア建設の理想と現実―
結章 宗教と政治と「私たち」の課題
イラスト:きーろ様(Twitter*@ki_ro_iroiro)
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