こんにちは、HIROROです。
投稿が滞ってしまいまして申し訳ございません。
前回の拙稿「岡田茂吉没後の世界救世教と分派教団」の反響が大きく(自分で言うのもなんですが)、
抜刷を皆様に送ったり、頂いたご感想に対してメールを返信したりとバタバタしておりました。
さて今回ですが岡田茂吉文庫の第26回目としまして、
麻生鋭『光は大地に』を取り上げたいと思います。
作者の麻生鋭(麻生恒太郎)氏は詩人・生田春月の門人でして、
詩集『風の中』(詩と人生社、1931年)、『天国と地獄』(1926年)など複数の作品があります。
麻生氏は戦前、東京で出版社を行っていましたが、戦争でダメになってしまい
静岡に移り住んで執筆業や講演業を行っていたようです。
本書は1954年3月1日から6月30日までの間、静岡県の日刊新聞に連載したものを、
1954年8月に単行本として発行され、更に物語を発展させて1955年6月に後編として出版、
少し時間が経過した1971年2月に前後編をまとめて一冊として再版されたものです。
初版の序にて「世界救世(メシヤ)教が物語りになったのは、これが最初ではないだろうか」と
述べられている通り、小説・物語の形態で記されています。
麻生氏の講演会を聴いた世界救世教の信者の方が、麻生氏自宅を留守中に訪ねてきて
世界救世教のパンフレットを托したことをきっかけに、実際に集会に参加するなど取材を重ね、
また在世時の岡田茂吉とも面談した内容などを基に描かれた物語となっています。
(本書、冒頭部より引用)
どこまでが実在する人物で、どこからが架空の人物か境界線が分からないほど精巧につくられた作品ですが、
登場人物としましては次のような人々が登場します。
風来坊の友人・山本
ミスローズ・白井京子
洋品店店主・藤山幸造
沼津の幼友達・南チエ
春秋寺住職・玄海
チエ亡夫の親友・湯浅博士
旦那と別居中・谷口葉子
画家・富田清風
そして作者の麻生氏と岡田茂吉を交え、世界救世教の内容に触れつつ、
友情・恋愛・死などの文学的な要素も盛り込まれた素晴らしい作品です。
今回は少し趣向を変えまして、目次と登場人物のマトリクス表を作成してみました。
「貧乏長屋」と「暗い日」だけは岡田茂吉の過去について振り返る内容となっています。
普段は学術書やビジネス書しか読まないHIROROですが、
久しぶりに文学書に触れまして心が揺さぶられた感覚になりました。
少し入手性が悪いかもしれませんが是非とも読んで頂きたい一冊です。
①タイトル
『光は大地に』 ※改装版
②著者・編者
麻生鋭
③出版社
熱海商事株式会社
④出版年月
1971年2月
⑤サイズ
新書版
⑥頁数
484頁
⑦目次
前表の通り
イラスト:きーろ様(Twitter*@ki_ro_iroiro)
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